Vi-Kingを設立して1年が経ちました。

こんにちは。@watamboです。
新年明けましておめでとうございます。


さて、本日1月19日、株式会社Vi-Kingは設立1周年を迎えました。

何とか1年間続けることができたのも、弊社をご支援くださっている皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。まだまだ経営者・起業家という肩書きを名乗る資格など無い未熟者ですが、これからより一層精進して参りたいと考えております。今後とも宜しくお願い致します。

この1年間を振り返り、自分なりに考えたことを記録してみたいと思います。

はじめに。設立までと設立当初。

結論から言って、この1年間、Vi-Kingは何1つとして成果を出してきませんでした。

僕たちが存在することで、世界は少したりとも変わっていないし、言ってしまえば「学生のなんちゃって起業」以下ではあってもそれ以上では決してありませんでした。

個々人のスキル、チームづくり、プロジェクトの進め方。否のあるところを指摘すればキリがないほどですが、とどのつまり、それらの否の原因は全て僕にあると思います。


Vi-KIngという会社を設立したのは、波がきたからでした。
元々、経営者という生き方に関心はあっても、自分がそれを目指すなんてことは想像したこともありませんでしたが、ある時、自分がどう生きたいのかほんの少し分かった瞬間があり、気がつけば周りには5人の仲間がいて、設立に向けて動いていました。

会社のビジョンは全員で話し合って決めました。メンバーは皆、これをやるべくして加わったのだ。同じベクトルで、全員が動くんだ。
そして、2011年1月19日、株式会社Vi-King設立。6人(VI)のトップ(King)が海賊のように、既存の秩序を壊し、世界をつくる。みんなで世界を変えるんだ。ただ、ワクワクしていました。


それからすぐに色々なことがありました。メンバーはもはや6人ではなくなり、僕はCEOになりました。急に、空気が変わった気がしました。
最終的な責任をもつのは僕であり、正式な決断のときは全員が僕を囲み、僕が決断をするまで見つめる。彼らはしばしば僕の決断に、根拠がないと不満をもらしました。決断が遅いと、そこでもまた不満が出ました。
当時の僕は、「あいつらは勝手に色々言ってばかりで本当に無責任な奴らだ」と思っていました。全ての決断が怖くて、億劫であり、メンバーを恨めしく思っていました。

結果、事業はアイデアの段階からほとんど実現に至らず、Vi-Kingのもう1つの取り組みである「CAMPHOR-」(京都のIT系ものづくり学生のコミュニティ)の仕組み作りも大切だ、と勝手な言い訳をつくり、ここでもまた決断が怖くて何も進みませんでした。

結局のところ、僕は当時、いつだってチームの中で最も無責任で身勝手な人間でした。

世界は変えられるという信念と、その先にあった閉塞感。

2011年8月21日、「PlusGirls」というiOSアプリケーションをリリースしました。

「あなたのデスクワークにふれあいをPlusする。」をキャッチフレーズに制作されたPlusGirlsは会社を始めてから僕が自分の仕事に初めて誇りを持つことのできたアプリケーションでした。

PlusGirlsに続き、Vi-Kingは「仕事を楽しくする」アプリケーションを開発していこうと決め、
「萌えたいまー」「彼とごはん。」「PlusGirlsMini」などのアプリをリリースしました。

PlusGirlsを全世界のAppStoreに向け、リリースしたことで感じたことは、世界はこんなにも近くにあるのだ、ということでした。
PlusGirlsで全ての人々にとってきっと仕事は楽しくなるし、僕らは世界をきっと変えられる。
そう信じ、より一層「仕事を楽しくする」ことのできるアプリを追求しました。

そんな楽観論に後押しされ、新たなプロダクトを追求する僕に、ある想いが常につきまとい、それは時間の経過とともに強くなっていきました。

僕は何も変えていない。僕が存在することで、世界は何一つ良くなっていない。

本当に怖かった。何をやっているんだおれは。いつも思ってました。

はてなの近藤さん主催の「BIRTH」をはじめとして、沢山の場でPlusGirlsやVi-Kingについてお話する機会をいただきました。
自分が絶対にやりたいと思うこと、つくりたい世界のこと。心から信じることを正直にお話しました。経営者・起業家としてあまりに未熟な僕を、それでも多くの方が心から応援してくださいました。みんなに応援していただけることはとても嬉しかったし、何より自分は目標に向かって前進しているのだ、と実感することができました。

けれど、僕は何も変えなかった。
前に進もうとすればするほど、事実、前に進んでいなかったし、それでいて前に進んでいると信じようとしました。

僕が信じるものの先には、巨大な閉塞感しかありませんでした。

きっと世界を変える、ある友人の話。

Vi-Kingの事業の中で出会った、ある1人の友人についてお話しさせてください。

彼は、現在自らのデザインしたキャラクターを題材にした漫画を描いています。
独学で漫画の描き方を学び、2週間に1度のペースで更新し、現在は60話を超える長編漫画を今も描き続けています。

彼はキャラクターデザイナーを目指しています。鳥山明さんのように、全ての人をワクワクさせる漫画を描き、誰もが慣れ親しむキャラクターを生み出すキャラクターデザイナー

現在描いている漫画がビジネスになっているわけでも有名雑誌に掲載されたわけでもありません。
ど素人の僕が言ってはいけないことかもしれませんが、現段階では卓越した絵を描く技術を持っているわけでもありません。

けれど、彼は自分の夢や漫画について、文字通り目を輝かせながら語るわけです。
そして、漫画を描き始めた頃に比べると素人から見ても、明らかに技術レベルが格段に上がっていると分かる。
純粋に漫画が大好きで、夢に向かってひたすら前進している。

僕は、彼は世界を変えるキャラクターデザイナーになることを確信しています。

あんなに幸せそうに絵を描く子を僕は見たことがない。理由は言ってしまえばそれだけです。

世界を変えるのは簡単ではないけれど、本当に世界を変える人とは恐らくこういう人なんです。

本当にやりたいことをやっている。そういう人はきっと世界を変えられると思うのです。

それなら、彼が世界を変えるキャラクターデザイナーになるために、ぶつかるかもしれない困難に立ち向かう為に、僕が彼にあげることのできるものは全てあげたい。

ただ、ひたすらにものづくりを行ない、それを続けること。

僕は、自分が本当にやりたいことをやっている人を、世界を変える人にしたい。

彼らに、僕があげられるものは全てあげたい。僕もVi-Kingも、その「あげる」仕組みがきちんと完成するまできっと死ねないし、僕らが今存在する意味はそこにあると思います。


この、途方もないような目標を達成することができる可能性が1つだけあります。それは、僕たち自身が真摯にものづくりをすることです。そして、それは夢を語ることでは決してない。

夢を語るのはとても良いことだと思うし、僕自身夢を語ることは好きです。

だけど、それは世界を変えない。僕は世界を変えたい。

僕たちが世界を変える為に、僕たちに唯一与えられた資格は、ただひたすらにプロダクトやサービスをつくることだけ。プロダクト・サービスを作って、初めてその範囲に限ってのみ語ることが許される。

次の1年、いや、この先僕やVi-Kingがどうあるべきなのか、かつ、どうありたいのか、ようやく定まりました。

つくる。ただひたすらにサービスをつくる。


僕の脳裏にはまだ、少し前まで全く離れなかった閉塞感があります。ついでに言うと、CEOを続けることに不安は大いにあるし、決断することはやはり怖いです。

でも、今、心から楽しいです。今年も最高に楽しみたいと思います。これからの1年も、株式会社Vi-Kingの成長をあたたかく見守っていただけると幸いです。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

2011年1月19日
株式会社Vi-King代表取締役CEO
渡邊亮輔